あいかわ公園 山野草図鑑

あいかわ公園で見られる様々な花たちを色ごとに紹介する図鑑です。(春132種 夏98種秋更新中)あいかわ公園で植物を見つけた際に花の色が分かれば、その色の図鑑を確認することで種類の特定ができます。スマートフォンなどで図鑑を見ながらお散歩することで、公園の自然をより楽しめます。花情報はどんどん追加していきますのでお楽しみに。

あいかわ公園 山野草図鑑 春 紫色の花

アオキ
(アオキ科・雌雄異株(おすとめすが別の花))
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場所:ふれあい広場奥
時期:4月上旬
木毎に雄雌が異なる木です。花の時期によく見比べてみると、4つの雄しべが付いている雄花(おばな)か、中心に1つのめしべを持つ雌花(めばな)かが分かります。写真の物は4つのおしべがあるので雄花です。
アオキは冬においしくない赤い実をつけるのですが、食べるものが少ない時期には鳥たちはアオキを食べるしかないのです。
驚いたことに実は9割近くが種です。非常にまずい。


アネモネ
(園芸種・有毒)
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場所:パークセンター花壇
時期:3月
園芸で人気の高いキンポウゲ科植物です。毒を持つキンポウゲ科植物とシカの食害があるあいかわ公園は相性が良く、クリスマスローズと並んで植えられています。キンポウゲ科は花を支えるガクと花弁が同じ形をしているのが面白い点で、花をひっくり返すと本来あるはずのガクがないことに気が付けるはずです。


ハナニラ

(園芸・有毒)
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場所:パークセンター前花壇
時期:3月~4月
可愛らしい星形の花が人気の植物です。ニラ臭がする有毒植物と言うことで、誤食による食中毒の発生例があります。
花は↑のアネモネと同じく花びらとガクが同じ形を取っているタイプです。花に注目してみると手前に3枚奥に3枚とくっついているのが分かるかと思います。


ウラシマソウ
サトイモ科・有毒
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場所:花の斜面など
時期:4月中旬
長く飛び出た付属体(ふぞくたい)を浦島太郎の釣り竿に見立てたことから名付けられています。付属体の付け根には本当の花があり、トウモロコシのような形をしています。独特の匂いを持ち、ハエの仲間をおびき寄せて花粉を運んでもらい受粉します。葉にも特徴がありぐるっとまいたような櫛のような見た目をしています。
なので葉もかなり印象に残ります。
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まるで手を大きく広げたかのような葉です。見たことのある方も多いのではないでしょうか?




ミミガタテンナンショウ
サトイモ・有毒
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場所:森のわたり橋付近
時期:3月~4月
白色の物や紫色の物など多少の色の差が見られます。花のように見えている紫色の部分は、付属体(ふぞくたい)の付け根にある本当の花を守るための苞(ほう)と呼ばれる部位で、サトイモ科の苞は特に大きいため仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれます。仏像の後ろの炎に見立てているようです。入口には返しがついており、一度入るとなかなか出られませんが、雄花には出口が付いており、花粉が運べるようになっています。一方で雌花は中も狭く出口も狭い罠のような作りになっています。
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雄花の出口。なかなか賢い植物と言わざるを得ませんね。








カキドオシ

(シソ科・可食)
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場所:ふれあい広場奥など
時期:3月~4月
地を這い、垣根を通ることから名付けられています。シソ科植物は香りが強く、葉をもむと独特の香りが楽しめ、これを乾燥させることでお茶にすることができます。また、香草としても活用できますが大量に食べると体に良くないようです。花の模様はネクターガイドと呼ばれ、虫たちに蜜のありかを教えています。
垣根を通すことから分かるように、雑草としてかなりうっとおしい植物です。しかし、花は可愛らしいので大目に見てあげましょう。







キランソウ
(シソ科)
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場所:日当たりのよい所
時期:2月~6月
たいていどこでも見られる山野草です。上に一枚下に一枚の唇形(しんけい)の花を持ち、舌側の大きな花びらに蜜を食べに来た虫が乗ると、てこの原理で花が垂れ下がり、上の雄しべについている花粉が虫の背中につけられるという戦略を取ります。自分の手で実際に試してみましょう!
地面にべたりと張り付く様子からジゴクノカマノフタと言う別名があります。下に地獄が続いているか確認してみるのも面白いかもしれませんね。





オカタツナミソウ
(シソ科)
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場所:パークセンター前など
時期:5月
形がとても面白いタツナミソウの中でもとても花付きが良いのがこの種類です。花がまとまってつくため見た目のボリュームがとてもあります。花の形は前に出たホトケノザなどよりもよりがっちりとしており、ネッシーの首のようなかわいい形です。特徴的な形から園芸で植えられることも多い種類です。
一方で似た種類が多く、種類の特定が難しい花でもあります。ここでは花がまとまって生える点や色合いの濃さ、草丈が高いなどからオカタツナミソウとしています。
タツナミソウ、コバノタツナミソウ、シソバタツナミソウ、ヤマタツナミソウなどなどあげると切りがありません。





ショカッサイ
アブラナ科・花弁4枚)
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場所:風の子橋
時期:3月~5月
春に日当たりが良い場所であれば大抵目にすることができる植物です。アブラナの仲間は4枚の花弁を持ちます。これに加えて面白い特徴が6本の雄しべの内4本が長い4強雄しべという特徴を持つことです。長さを変えることでより花粉をつけやすくする戦略をとっています。
この植物は別名が多いことで有名です。ショカッサイのほかにオオアラセイトウやムラサキハナナの名があり、人によって呼び方が違うので、会話がかみ合わないことがあります。




ジロボウエンゴサク

(ケシ科)
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場所:風の子橋
時期:3月下旬~4月上旬
春の時期にだけ葉と花をつける植物です。それ以外の季節は根っこで過ごします。細長い花の奥に蜜を蓄えており、ビロードツリアブなどの口が長い昆虫に蜜を運んでもらいます。似た種類がいくつかあるため色ではなく葉の形で見分けるようにしましょう。花が付いている柄の付け根に葉が付いています。
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ここが生クリームホイップのような形ならばジロボウエンゴサクで、お寿司に入る緑色のバランのような形ならヤマエンゴサクです。
少々分かりにくいかもしれませんが、花が付いている柄の付け根を見てみてください。三角おにぎりのような形をした葉が見えるはずです。



ムラサキケマン
(ケシ科)
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場所:ふれあい広場奥など
時期:3月下旬~4月
日当たりの悪い場所に春見られます。ジロボウエンゴサクと似ていますが、葉の形花の色が異なります。葉はかなり細かく、白い斑点のようなものが入ることが多いです。花は紫色を基本として白が入るなど濃淡様々な色があります。
アゲハチョウの仲間ウスバシロチョウの食草で、最近では数を減らしている貴重な種類です。
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タチツボスミレ
(スミレ科・花弁5枚)
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場所:冒険の森入口など
時期:2月~4月
日当たりのよい所で普通に見られるスミレです。見分けにくいスミレの中でも分かりやすい種類で、写真中央のオレンジ色の部分に付く柱頭(ちゅうとう)の形が白い線のような形になります。見分ける際には、色よりも柱頭の形や葉の形、左右の花びらに毛が付いているかなどに注目するのがおススメです。
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(参考までにマルバスミレの柱頭です。カマキリの頭のような姿をする特徴あがります。カマキリ型の柱頭が一般的なので、見分けるポイントになります。)




ナガバノスミレサイシン
(スミレ科)
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場所:森のわたり橋より奥の山側
時期:3月下旬~4月上旬
花の雰囲気だけを見るとタチツボスミレと間違えてしまいます。柱頭の形に注目してみると、細い線の先が逆三角形のような形になっています(カマキリ型)。カマキリ型の柱頭と、葉の大きさ、そして横から見た時のお尻の形(距(きょ))で見分けられます。葉の大きさが全然違いますね。
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ナガバノスミレサイシンの根元です。スミレサイシンの仲間はスミレの仲間と違い、花の時期に葉がほとんどないか、もしくはちょこっとだけ出ているという特徴があります。根元がスカスカなのです。そのため、地面から花が生えているように見えます。
太平洋側ではナガバノスミレサイシン(葉が長いです)が、日本海側ではスミレサイシンが見られ、綺麗に分布が分かれています。




ヒメスミレ
(スミレ科)
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場所:パークセンター前の植込み
時期:3月~4月
日当たりのよい場所を好む最小のスミレです。花は1cm程度の大きさで濃い紫をしています。このサイズは他にないため、簡単にわかります。特徴に注目してみると、左右の花びらの部分に毛が生えており、距の部分は花弁の紫色に対し白色と違う色をしています。
毛の有無は柱頭の形と並んでスミレの種類を見分けるのに重要なポイントになります。ヒメスミレはサイズで分かるのでいいですね。




ノジスミレ
(スミレ科)
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場所:花の斜面
時期:4月
普通のスミレと似ており、見分けるのが難しい種類です。左右の花びらに毛が付いていないかいるか、葉の縁が波のようにギザギザするかまっすぐかでノジスミレとスミレに見分けていますが実物を見て慣れるのが一番だと思います。
花よりも葉の形に注目する方が簡単でしょう。




ヒメウズ
キンポウゲ科・有毒)
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場所:冒険の森入口
時期:2月~4月
ウズ(烏頭)とは、猛毒で有名なトリカブトの事を指しますが、彼らとは異なる形の花を持ちます。しかしトリカブトと同じく全草に毒を持ち、食べることはできないとされています。花自体は薄い紫色で、写真の物よりもずっと立ち上がるため、とてもかわいい花です。毒を持つ植物は天敵がいないため、まとまって生えることが多いです。




マツバウンラン
ゴマノハグサ科
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場所:パークセンター前
時期:4月~6月
マツバとは松葉の事を指し、松の葉に似ているという意味です。ツタの葉ににたツタバウンランなどがあり、花は似ていますが葉の形が全く違うため見分けるのは簡単です。身近で見られるゴマノハグサ科の植物は似たものが多いため葉の形などのポイントを見ていきましょう。




ムラサキサギゴケ
ゴマノハグサ科
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場所:ふれあい広場子供トイレ横
時期:3月下旬
花の形がマツバウンランと似ていますが実物はマツバウンランの2倍以上大きいです。白色の花のトキワハゼと似ています。色合いと大きさでも見分けられますが、花の上側につく飛び出した部分が裂けるのがムラサキサギゴケの特徴です。また、地面を這うためたくさんあります。
ランナー、または匍匐茎(ほふくけい)と言う茎を周囲に伸ばして、その根が降りたところから新しい株が発生するのです。これはトキワハゼにはないので、根が横に伸びているかどうか確認してみましょう。

トキワハゼ
ゴマノハグサ科
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場所:ふれあい広場の端など
時期:3月~4月
ムラサキサギゴケと色合いが似た植物です。ムラサキサギゴケより1周りほど小さいため、見比べれば大きさでも分かります。
シソ科やゴマノハグサ科のお花は一見すると地味ですが、紫外線を見ることができる虫たちからすると派手に見えています。
地面に映えながらも虫たちに見つけてもらうための戦略ですね。



ムスカリ
ユリ科・園芸種)
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場所:パークセンター前
時期:4月
ぶどうのようにたくさんの花をつけます。花をすりつぶすと分かりますが、かなり粘り気がありぬるぬるとしています。ぬめりけを虫に付けることでより効率的に花粉を運んでもらおうとする戦略です。園芸種のため、身近な所でも見かけることができる種類です。




ランヨウアオイ
ウマノスズクサ科)
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場所:森のわたり橋奥地
時期:4月上旬
山梨県のエリアを縦断するフォッサマグナによって生まれた植物で、全国を見ても丹沢箱根付近のエリアでしか見ることができない植物です。花は地面を覆う葉の根元に生えるため、知らなければ見ることができません。しかし葉にもそれぞれ面白い模様があり、カンアオイの仲間は観賞用としても人気高い植物です。
神奈川では局所でしか見られないギフチョウの食草でもあります。山を越えたギフチョウが迷い込んだりしてくるとかなり嬉しいのですが、なかなか難しそうですね。




シラン
(ラン科・園芸)
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場所:南駐車場入口
時期:4月下旬
自生では滅多に見ることのないシラン(紫蘭ですが、園芸店では比較的見かけます。園芸用とはいえランの仲間のため、美しい色合いを楽しむことができます。ランの仲間にはいくつか特徴が見られます。シランでは、葉が茎を抱く様子、花びらの数などの花のつくり、葉の脈の形などをじっくり見ることができます。ぜひ観察してみましょう。




モカタバミ
カタバミ科外来種
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場所:花の斜面
時期:5月
園芸用として庭先や道端で見かけることの多いお花です。紫色のカタバミにはいくつか種類がありますが、モカタバミは花の中央がより濃い紫色になることや根っこがイモのような形になるという特徴があります。つまり団子のように丸い山のような姿になります。似ているムラサキカタバミと見比べてみてください。




ムラサキカタバミ
カタバミ科・園芸種)
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場所:南駐車場
時期:5月
園芸用として庭先などでよく見かけるカタバミです。イモカタバミと似ていますがよく見ると花の中心に色がついていないため簡単にわかります。葉の光沢と厚みが強く、黄色のカタバミの葉を3枚程度重ねたくらいの厚みがあります。
同じタイプにはハナカタバミと言う大型のものがいます。




ヒメハギ
(ヒメハギ科)
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場所:風の丘
時期:5月
日当たりのよい場所で見つかることがあるお花で、少し変わった形をする植物です。ヒメハギ科自体が日本で数の少ないグループです。目につくひも状の部分は付属体(ふぞくたい)と呼ばれ、ひも状付近の濃い紫色が花びら、外側の羽のようなものがガクと呼ばれる葉が変化した部分です。濃い紫色の2枚(根元で2枚はくっついています)とひも状の部分に繋がる部分の計3枚の花びらに加え、それらを支える大きな外側のガクが2枚という難しい構造になっています。




ニワゼキショウ

(アヤメ科・同花被花(どうかひか))
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場所:ふれあい広場など
時期:5月~6月
日当たりのよい場所で普通に見られるユリの仲間ですが、大きさは1cmない程度のかなり小型の花です。アヤメなどと同じく花びらとガクが同じような色形をした同花被花(どうかひか)という形をとります。
白と紫色の2種類がありますがあいかわ公園では白色の方がたくさん見つかります。セキショウのショウは菖と書き、アヤメの事を指しています。花の形が似ているのも納得ですね。



フジ
マメ科・蝶形花)
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場所:ふれあい広場奥など
時期:5月
5月を代表する有名な花です。写真では1枚ですか実際には垂れ下がるように大量につきます。非常に美しいためフジを目線より上の高さでカーテンのように整えた藤棚やシロバナのフジなど人気の高い種類です。ツルの巻き方の向きでフジかヤマフジか見分けることができます。
花はあまりにも有名ですが、実もかなり面白いです。
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細長い実は、市場に並ぶソラマメなどと同じマメの姿そっくりで、中にはボタン電池のような種が入っています。火を通せば食べられますが、食べすぎると食あたりを起こします。