あいかわ公園 山野草図鑑

あいかわ公園で見られる様々な花たちを色ごとに紹介する図鑑です。(春132種 夏98種秋更新中)あいかわ公園で植物を見つけた際に花の色が分かれば、その色の図鑑を確認することで種類の特定ができます。スマートフォンなどで図鑑を見ながらお散歩することで、公園の自然をより楽しめます。花情報はどんどん追加していきますのでお楽しみに。

あいかわ公園 山野草図鑑 夏 白色の花

ヤセウツボ
(ハマウツボ科・寄生植物・外来種

場所:石小屋ダムの芝生
時期:5月~6月
奇妙な姿をしたこのヤセウツボ寄生植物と呼ばれ、自ら光合成をおこなって栄養を作りません。ではどのようにして栄養を得るのでしょうか?
答えはシンプルに他の植物から養分を奪います。特にクローバーなどのマメ科が好きなのでヤセウツボがある場所には大抵クローバーがあります。

(中央の茶色がヤセウツボの茎。丸い緑の葉がクローバー)
寄生の時には寄生根(きせいこん)からタンパク質を分解する成分を出し、それを相手に差し込みます。
寄生植物の多くは栄養を作る必要がないので緑色ではありません。茎を含め、白っぽい姿をしたものが多いですよ。



ウシハコベ
ナデシコ科・外来種

場所:ふれあい広場
時期:4月~
在来のハコベよりもずっと大きな外来種ハコベです。花も明らかに大きく、知識がなくとも別種かな?と疑問に思うことと思います。

花びらは1枚が根元まで深く切れ込むため、実質10枚に見えますが、本当は5枚です。ナデシコ科は5枚の花びらを持つことを知っていればきっと根元でつながっている花びらに気が付けると思います。
在来のハコベとは花の中心の めしべの数で見分けます。
ウシハコベ5つに分かれています。
在来のハコベ3つに分かれています。

(めしべの拡大がありませんでした)




トキワツユクサ
ツユクサ科・外来種

場所:ふれあい広場の奥
時期:5月
日陰で湿度のある所に見られる植物で、園芸用に持ち込まれたものが野生化しました。トキワの名が付くものは常に緑色であるものが多いです。

トキワツユクサも普通のツユクサと比較すると葉の色が濃く、一年中茂っているためこの植物が生えている日陰は圧迫感が強いです。繁殖力も強いです。




ヒルガオ
ヒルガオ科)

場所:南駐車場など
時期:5月~6月
園内の日当たりがよい場所でよく見られます。太陽光が出ている日には白やピンク色のコーヒーフィルター状の花を咲かせます。
つる植物であるため、ほかの植物に絡みついているのですが、これはより効率よく太陽光を浴びたり、虫たちに花をアピールするためです。
ヒルガオは、花の付く柄の部分ギザギザと縮れていますので確認してみましょう。ギザギザしてなければヒルガオと見分けられます。






ヤマボウシ
(ミズキ科・)

場所:ふれあい広場
時期:5月~6月
あいかわ公園にはヤマボウシハナミズキが見られます。

また、一年中葉をつける常緑ヤマボウシも見られます。園芸種としての印象が強いため勘違いされがちですが、もともと日本の自然下に自生する植物です。4枚の花に見える部分は本当の花を支える部分の軸であり、(ほう)と呼ばれる部分です。これはドクダミの白い部分と同じ役割をしています。

こちらはハナミズキのお花なのですが、花を裏返してみると花の後ろになにもありません。多くの花にはガクと言う花を支える場所があります。

最初にあったハコベもよく見てみると白いお花の後ろに緑色の花のようなものがありますよね。これが普通の花に見られるガクと言うものです。

ガクがない花は裏返せば分かります。ヤマボウシのような花では苞が花びらの役割をしています。次のドクダミでさらに話が複雑になりますが、ガクではなく苞と言う部分が花びらです。




ドクダミ
ドクダミ科)

場所:園内各所
時期:5月~
常に水気がある場所を好む独特なにおいを持つ植物です。

若葉の縁には赤い線が入っており、クローバーのような葉の形と相まって綺麗な印象を与えます。

薬効成分が豊富でドクダミ茶にして古くから飲まれてきましたが、香りには好き嫌いがあると思われます。4枚の花びらに見えるものは花びらではなく、本当の花は写真の黄色い部分たちです。

黄色い小判のようなおしべの部分と白いめしべの部分が分かりますね。いくつものおしべめしべを支えていることが分かります。
1つのお花を支えてあげるのがガク
複数のお花をまとめて支えるのがと覚えておきましょう。






ニワゼキショウ

(アヤメ科・有毒)

場所:園内各所
時期:4月下旬~6月
身近に見られるアヤメ科の仲間で、あいかわ公園では芝生が白色に見えるほどのニワゼキショウが咲いています。

6枚に見える花は花弁が3枚ガクが3枚です。

アヤメ科やラン科などに見られる同花被花(どうかひか)という特徴の1つです。白色が目立ちますが紫色もありますので探してみてください。

園内では外来種オオニワゼキショウも見られます。よく見てみると計6枚の花びらとガクの内3枚が不自然にずれています。 

ニワゼキショウとオオニワゼキショウの色は同じなのですが、些細な違いで別種に分けられています。




ソヨゴ
(モチノキ科)

場所:花の斜面
時期:5月下旬
波打つ独特の葉を持ちますが、あまり馴染みのない植物だと思います。

背丈が大きくならないので園芸用として用いられることが多く、また、秋ごろに付ける赤い実が葉っぱの上に乗っかるように見える様子が可愛い植物です。

花は1つ1つは地味ですがたくさんつけるため、意外と見栄えはいいです。辺りには虫の羽音が響いています。




テイカカズラ
キョウチクトウ科

場所:森のわたり橋付近など
時期:5月下旬~6月
木に張り付くように根を出して登っていくつる植物です。森のわたり橋付近では大量のテイカカズラの白い花が木を覆いつくし、装飾のように飾っています。

日当たりの悪い場所でならば大抵みることができる植物ですが、葉の模様が浮き上がるように見えたりと観賞用としてはなかなか楽しませてくれます。




ナツツバキ
(ツバキ科)

場所:じゃぶじゃぶ池付近
時期:6月中旬
初夏に真っ白な大輪の美しい花をつけます。中心は茶筅のように黄色い束上の雄しべが付いています。花もきれいですが樹皮にも特徴があり、樹皮の一部がはがれることで独特な模様を作り出します。花がより小さくたくさんつくヒメシャラもあいかわ公園には植えられていますので見比べてみるのも楽しいかもしれません。




ヨウシュヤマゴボウ

ヤマゴボウ科・有毒)

場所:パークセンター前など
時期:6月上旬~中旬
学校の帰り道などで必ず見かけたことがあるのがこのブドウのようなヨウシュヤマゴボウと言う植物です。いかにもおいしそうな紫色の実をつけますがその実態は有毒植物なので注意しましょう。サポニンと言う植物毒を含み、嘔吐などの症状が出ます。全草に含まれますが特にごぼうのような根に蓄えられているのでおいしそうでも食べないようにしましょう。



メリケンカルカヤ
(イネ科・外来種

場所:石小屋ダム付近
時期:6月中旬
ダム付近の辺り一帯を小麦色に染めるのがこのメリケンカルカヤです。冬になってもなくならず、白い綿花の破片のような種をつけた姿が見られます。
繁殖力の強い外来種であるため、河川などの環境でたくさん生えているのがよく見られます。



クマノミズキ

(ミズキ科・対生)

場所:冒険広場より上の道路沿い
時期:6月中旬
ミズキと似たような花をつけるため花単体での識別が難しいです。しかし、ミズキは5月中旬ごろに花を咲かせるのに対しクマノミズキは6月中旬であること。
ミズキは葉が右左右左と互生(ごせい)に付くのに対しクマノミズキは左右両方に出る対生(たいせい)であるなど明確な違いがあります。これらのことから植物に興味を持ち始めた人がその違いを見分けるポイントを学ぶのにおススメの植物でもあります。






スズメノカタビラ
(イネ科)

場所:パークセンター前
時期:3月~6月
道端や空き地などで普通に見られるいわゆる雑草です。長い茎を利用してかみ合わせ、お互いに引っ張り合うことで茎の引っ張り相撲が楽しめます。
草丈は低く20cm程の大きさですが、横に這ったりすることで地面の上に緑色の座布団が敷いてあるような雰囲気を作ります。




トキワハゼ

ゴマノハグサ科

場所:ふれあい広場など
時期:2月~
白と紫色の小さな花をつけます。あいかわ公園では芝生の上で他の植物と混じって咲いているため、ニワゼキショウなどと一緒に見られます。
花の形が面白く、舌をベーっと出したような形をしています。春には似たムラサキサギゴケと言う植物が園内には見られるので色の違いや区別点を探してみるのもおススメです。



クララ

マメ科・有毒)

場所:冒険広場より上の道路
時期:6月中旬
根や草に眩暈がするほどの苦みがあることからくらくらする草=クララ草 が省略されてクララと呼ばれています。花付きはよく、フジなどと同じマメ科であるため白い楽器のような面白い形の花をたくさんつけます。草丈も低く、目前で観察できます。このエリアはマメ科が多数みられるためマメ科ファンには絶好のスポットです。(フジ、ハリエンジュ、アカツメクサシロツメクサ、ジャケツイバラ、クララ、イタチハギがこのエリアで見れます)




シロバナアカバナユウゲショウ
アカバナ科・白花種)

場所:冒険広場
時期:5月~
身近な花は見飽きたと思うそんな植物好きの方に挑戦して欲しいのが色違いを探してみることです。アカバナユウゲショウは本来赤色なのですが、野生であっても突然色の違うものが見られることがあります。普段とは色が違うだけで印象がガラッと変わるお花の雰囲気を楽しんでみてください。また、このように見ていくと花1つ1つにも色が違うということがよく目に付くためおススメです。




シロバナネジバナ
(ラン科・白花種)

場所:園内どこか
時期:6月~
ネジバナはありふれた種類ですが白花種はとても貴重な種類のため場所は秘密です。自生での白花種は非常に珍しく、運よく遭遇するしか見ることはできません。ネジバナの場合純白花びらに入ったラメが太陽の光を受けてより強く光っているように見えます。アカバナの白色もそうですが、余分な色がなくまさに純白と呼ぶにふさわしい色合いだと思います。




ヤマハタザオ
アブラナ科

場所:冒険の森付近
時期:6月~
写真では小さく見えますが、実際には茎を30cm~80cmも伸ばす大きな背丈の花です。竿の名の通りスッと立ち上がる様子を釣り竿に見立てています。
葉や茎に毛がないものがハタザオで、大きいものだと1mにもなりますが、こちらは毛が生えるためヤマハタザオとしています。
あいかわ公園の物は最小クラスの30cm程度です。



イワダレソウ
クマツヅラ科・)

場所:ふれあい広場
時期:6月~
グラウンドカバーとしてよく利用される植物で、地面を這うように広がっていくためよく使われます。花としての特徴は赤色の花で紹介しているランタナと同じように花弁を5枚もちます。独特な花の形を覚えてしまえばクマツヅラ科は分かりやすい花の形をしています。あいかわ公園のは園芸用のものが野生化したものでしょう。



クサギ
クマツヅラ科・可食)

場所:冒険広場の道路など
時期:8月上旬~中旬
独特の臭気をもち、たいていの人が臭いと思う木なのでクサギと呼ばれています。白い花は花弁が5つに分かれ、星のような形をしています。大木のクサギはあまり見かけず、公園内では森のわたり橋から見下ろせる個体が一番大きいと思います。新芽の部分を食べることができるのでクサギの香りが気に入った方は摘んでてんぷらなどにしてみるとふわふわした感触を楽しむことができます。





ヘクソカズラ
(アカネ科)

場所:ふれあい広場など
時期:7月上旬~
なかなかにひどい名前が付けられていますが、人によっては糞の名に負けないくらいの嫌な香りがします。嫌なにおいがする葉の近くでは白と赤色のイチゴアイスクリームのような色合いがかわいい花を咲かせます。公園でなくともフェンスや柵などの絡みつける場があれば見ることのできる植物なので、興味のある方は花を参考に葉っぱを見つけて香りを嗅いでみてください。




クチナシ
(アカネ科)

場所:南駐車場
時期:6月下旬~
栗きんとんやたくあんなどの黄色をつけるために昔から染料として使われてきた植物です。甘い香りはとても心地よく、虫たちもたくさんやってきているため、花にはたくさんの虫がくっついている所を見ることができます。本来は6枚の花弁を持ちますがあいかわ公園の種類は八重咲の種類で、豪快に咲きます。
オオスカシバと言う蛾はこの植物が好きなのでよく葉にくっついている姿を目にすることがあります。



アメリイヌホオズキ
(ナス科・外来種

場所:ふれあい広場
時期:7月~
道端や道路沿いなどで頻繁に見られます。イヌホオズキの仲間は似ており、判別が難しいため恐らくアメリイヌホオズキであろうという判断です。分かりやすいのは果実を見た時に光沢があることなので、実がなっている時期にもう一度確認してみましょう。夏場はワルナスビなどを含めナス科の植物がよく見られます。



ワルナスビ
(ナス科・外来種

場所:ふれあい広場など
時期:7月~
道端などでも比較的よく見かける植物ですが鋭いトゲを持つためケガをしないよう注意が必要です。バナナのように見える部分は葯(やく)と呼ばれる部分で、花粉が蓄えられています。イヌホオズキなどナス科の植物はトマトやナスのような面白い実をつけるため、花の場所を覚えておいてぜひ確認してみましょう。




ハナイバナ
ムラサキ科

場所:パークセンター前の花壇など
時期:8月
道端などで普通に見られるムラサキ科の花ですが、3mm程の非常に小さな花なので目を凝らして探していないと見つけられません。花びらは根元でくっついていますが5枚に分かれるのがこの仲間の特徴です。加えて花の中心にはパッとみ円形に見えるラメの入った模様が見えます。ここも実は花びらなのでこの仲間は外の大きな花びらと内側の小さな花びらを5枚ずつ持つという面白い特徴が見られます。葉と葉の間に咲くことから葉内花(はないばな)。



タカサゴユリ
ユリ科

場所:南駐車場
時期:8月
道端などで普通に見られるこの形のユリの仲間では、花の付け根に紫色の線が入るタカサゴユリと線が無く真っ白なテッポウユリが見られます。
ユリの仲間の花粉を貯める部分(葯(やく))は振動を感知して花粉を振りまくため、漢字の丁の字のように付きます。辺りに甘い香りを漂わせてやってきた虫に花粉を振りかけるわけですね。花びらは3枚ですが、花びらと同じようなガクを持つため実質6枚あるように見えます。ユリやアヤメの仲間に見られる特徴ですね。