あいかわ公園 山野草図鑑

あいかわ公園で見られる様々な花たちを色ごとに紹介する図鑑です。(春132種 夏98種秋更新中)あいかわ公園で植物を見つけた際に花の色が分かれば、その色の図鑑を確認することで種類の特定ができます。スマートフォンなどで図鑑を見ながらお散歩することで、公園の自然をより楽しめます。花情報はどんどん追加していきますのでお楽しみに。

あいかわ公園 山野草図鑑 春 その他色の花

オオイヌノフグリ
(オオバコ科・外来種
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場所:園内各所
時期:1月~5月
1月の真冬から咲き始め、暖かくなる5月頃にいなくなる面白い季節に咲く植物です。それは競争相手のいない季節にあえて咲く植物の戦略の一つです。花は清楚でとてもかわいらしく、2本の雄しべがクワガタの角のようになる様子からクワガタソウの仲間でもあります。
上記の戦略からライバルとの競争にも強く、オオイヌノフグリが見られる環境では他の春植物が出る前に辺りを覆いつくしているようなことも珍しくありません。
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侵入して数年も経てば青い畑が出来上がります。綺麗ですが外来種なんですよね。




タチイヌノフグリ
(オオバコ科)
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場所:冒険の森入口斜面
時期:3月~5月
オオイヌノフグリとは異なり3月頃から咲き始めます。花は非常に小さく2mmほどです。花も草も小さいため、一度見つけるまではなかなか見つけられません。重箱のように積み上げられた草の形が特徴的なのでその形をイメージして探してみましょう。
タチイヌノフグリにつけられているタチとは、立ち上がるということを指します。 オオイヌノフグリと見比べてみると、建物のように立ち上がるこの名づけ方はイメージ通りと言えますね。


キュウリグサ
ムラサキ科・花弁5枚)
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場所:日当たりのよい場所
時期:3月下旬~5月
葉できゅうりの香りを楽しむことができる植物です。 慣れるまで葉は見つけにくいと思いますが、葉の形が分かれば何枚か葉をちぎってもみこんで香りを嗅いでみましょう。
花は2mm程度の非常に小さな花ですが、青い花びらと中心のラメのような丸い輪がとても綺麗です。この中心のラメ状のものは彼らが属するムラサキ科に見られる特徴なので覚えておくと役に立つかもしれません。
巻散花序(けんさんかじょ)と呼ばれる独特の花の付け方をし、花がくるくると巻くようにつきます。
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フデリンドウ
(リンドウ科)
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場所:花の斜面 
時期:4月中旬
落葉の茶色い地面から顔をのぞかせる美しい青い花が綺麗です。春の植物図鑑の中でもその美しさから一番印象に残る花かもしれません。
花はまとまって生えることが多く、たいてい1つ見つけるとたくさん見つけることができます。花に注目するのはもちろんですが、花の後には口が裂けたお化けのような形になり面白く、また、葉の形も独特な角ばった形をしています。
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種の跡の形はフデリンドウと知らなければ花なのか奇妙な物体なのかさっぱり分かりません。


スズメノヤリ
(イネ科)f:id:aikawa_park:20200429161122j:plain
場所:冒険の森入口
時期:4月
日当たりのよい場所に生えます。見た目が地味なため花のようには見えませんが、イネ科の植物はこのように小さな頴花(えいか)と呼ばれる花をつけます。ぴったりとはめ込まれる栓のような形になっています。



コバンソウ
(イネ科・外来種
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場所:ふれあい広場
時期:4月~5月
名前は知らずともどこかできっと見かけたことがあるであろう植物がこのコバンソウです。4月下旬ころから小判のような面白い形の花をたくさんつけて目立ちます。空地はもちろん道路の端など様々な場所で見かける外来種です。先ほどのスズメノヤリと同じイネの仲間であり、小判のように見える部分は小さな花が数個重なった頴花(えいか)です。おしべが飛び出ている様子が分かりますね。




ホウチャクソウ
ユリ科・有毒)
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場所:ふれあい広場端
時期:4月中旬
日陰を好むユリ科の植物です。似た形の多いユリ科の中では茎が枝分かれするという特徴から見分けやすい種類です。花は横から見ていると緑色で地味に見えますが、下から覗くと黄色い雄しべを見つけることができます。有毒植物なので山菜などと間違えないようにしましょう。
特に山菜取りシーズンに人気のユリ科の場合、芽生えたてを採る事が多いのですが、その段階ではかなり慣れていないと食べられるものと毒の物の違いが分かりません。




オニグルミ

クルミ科・尾状花序)
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場所:風の子橋
時期:4月中旬
川沿いなどの水気の多い場所でよく見られる植物です。川沿いでクワガタを探すときにはクルミの木が穴場のねらい目です。秋終わりごろに大きな実をたくさんつけ、開けるのにはかなりの手間がかかりますが中身をおいしく食べることができます。固い実は水散布と言って、水流に任せて新天地を目指して進むという荒業を見せます。花は尻尾のように垂れ下がって咲く独特な形をしています。
あいかわ公園内ではクスサンと言う大型の蛾が毎年ついています。
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5月頃から幼虫が見られはじめ、成虫は10月頃とかなり遅いですがなかなか狙って出会える機会はありません。



スズメノテッポウ
(イネ科)
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場所:パークセンター前
時期:4月~5月
あまり馴染みのない植物のように思えますが意外と身近に生えています。ツボミオオバコ、オオバコなどと似た花をつけているため見間違えている可能性もありますが、この植物はイネ科であるため細長い葉をつけます。オオバコたちは花の茎に葉をつけません。スズメノテッポウを使って笛を吹くことができます。有名な草花遊びですね。



カモガヤ
(イネ科・外来種
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場所:ふれあい広場奥
時期:5月
イネ科花粉症の原因の1つがこのカモガヤです。花は写真の時期よりも後に咲き(これはまだ咲いていない)、イネ科のため実に地味な花です。道路わきなどの町のいたるところで発見されるため、予想以上に身近にある植物に1つです。イネ科の外来種は昨今様々な環境で見られ、当たり前のように身近にあるので外来種だと思われていないものが多いのです。





タチドコロ
ヤマノイモ科・有毒
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場所:パークセンター前など
時期:5月
どれも似た特徴を持つヤマノイモ科の植物ですが、タチドコロは花の時期が5月で葉が丸みのある形なので分かります。葉の縁にギザギザがある点もわかりやすいですね。天然の自然薯は有名ですがそれを知識なく狙おうとすると、有毒なトコロの仲間に引っかかるかもしれません。
ヤマノイモと似ているオニドコロは似た環境に生え、似た葉を持つため注意が必要です。




ヨツバムグラ
(アカネ科)
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場所:冒険の森入口
時期:5月
ヤエムグラと同じように見えますが、葉を4枚つけるのが基本です。個体によっては5枚つけたりします。ヤエムグラと比べると控えめでおしとやかな印象です。また、4枚の葉が立ち上がる茎に綺麗につくので、美しい模様のようなシルエットが楽しめます。アカネ科のムグラと名づけられるものは種類が多く複雑なため、ここではヨツバムグラとしています。

あいかわ公園 山野草図鑑 春 赤系の花

サトザクラ
バラ科・八重咲き)
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場所:森のわたり橋
時期:4月中旬~下旬
花弁が幾層にも重なり合ったような見た目が特徴です。4月の普通に見られる桜たちが咲き終わった後に咲き始めます。桜の塩漬けにすることでゼリーやお茶などに彩を加えることができます。八重咲きのためお湯に浮かべると綺麗に花が広がり、香りとともに楽しめます。
サトザクラは総称であり、白色の花にあるオオシマザクラを品種改良したものです。 例えば食用のイチゴではイチゴと言うジャンルの中にとちおとめやあまおうなどの品種があります。それと同じですね。サトザクラと言うジャンルの中でも八重咲の物や、ソメイヨシノのように5枚の花を持つものまでいろいろとあるのです。



ソメイヨシノ
バラ科・交配種)
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場所:ふれあい広場
時期:3月下旬~4月
日本の桜を代表する人気高いピンク色のサクラです。筒状のガクの根元には蜜がためられており、人が舐めても甘さを感じられる蜜がたまっています。
ヒヨドリメジロと言った鳥が好んで食べに来ています。
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(蜜が大好きなヒヨドリ)
ソメイヨシノが咲く季節には木の足元にも注目してみましょう。
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このように花が丸ごと落ちている様子を見ることができるはずです。花の付け根には切り取られたような跡があります。
先ほど述べた鳥たちの中でも小柄の鳥たちは舌が蜜まで届かないため、根元をかみ切って蜜を舐めるのです。



モモイロキランソウ
(シソ科・唇型)
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場所:花の斜面左上
時期:3月下旬~4月
紫色が特徴的なキランソウ(春、紫の花)の桃色です。この公園で植えたとは考えにくいので自然に生まれたものでしょうか。自然に咲いている山野草では時折このような色違いが偶然にして生まれることもあります。見慣れた形でも色が違うだけで印象ががらりと変わるため見てみてくださいね。
あいかわ公園では花の斜面左上のスギ林付近で見ることができます。ヤマツツジがある場所の近くです。 




ホトケノザ
(シソ科)
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場所:パークセンター前付近
時期:3月~4月
にょきっと立ち上がる姿が特徴的なシソ科のお花です。上と下に二枚の花弁を持ち、その下側の花びらには虫に蜜があることをアピールする斑点模様が描かれています。虫がここに乗ると花びらがシーソーのように傾き、虫の背中に上の花びらについている花粉が付けられるという仕組みです。また、花の形を見ても分かるように入口を狭めることで口の長い虫か、潜り込めるサイズの虫に花粉を運んでもらっています。長い花の付け根に蜜があるのです。

ヒメオドリコソウ
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時期:2月~5月
場所:適当な地面の上
ホトケノザと似たやや小型でピンク色のお花をつけます。花を他の春植物よりも早くつけることでライバルとの競争にうまく勝ちます。
春先の外来種の中にはこうした戦略を持つものがいます。ヒメオドリコソウは花の付き方も面白い植物です。
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横から見ると花の頂点の位置が頭、横に飛び出した部分が手に見え、踊っている人のような姿に見えるのです。
より大型のオドリコソウに対してこちらは小さいのでヒメオドリコソウと呼びます。地面を探せば簡単に見つかるはずです。


ベニバナアセビ
ツツジ科・有毒)
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場所:花の斜面左上
時期:3月
ピンク色で目立つ下向きの花を多数つけます。花はいい香りを放ち、虫を誘っています。このような下向きの花には虫に花粉を運んでもらうタイプのものが多いです。ベニバナアセビは花を筒形にすることで下から入ってきた虫に花粉を振り落とします。
園内ではコツバメと言う蝶が春先の3月~4月に見られるようになります。
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食草がツツジなことと、季節が限られている点で見たことのある方は少ない種類のはずです。ツツジを見がてら探してみることをお勧めします。





ハルジオン

(キク科・筒状と舌状花)
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場所:ふれあい広場
時期:2月~6月
ピンクや白など様々な色で目立つ花です。ヒメジョオンという似た花がありますが、区別点として茎を抱くか抱かないか、茎の中が空洞かつまっているかでそれぞれハルジオンヒメジョオンと見分けれらます。中心の黄色が筒状の花で周りが舌状の花のため、2種類の花を持ちます。
園内では様々な蝶がやってくるため、虫探しにはお勧めの花です。シジミ、セセリ、タテハと幅広い蝶がやってくるため、パークセンターの虫コーナーと合わせてぜひ探してみましょう。




スイバ
タデ科・可食)
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場所:ふれあい広場
時期:4月
タデ食う虫も好き好きで有名なタデ科植物です。スイバは葉の付け根が返しのようにとがるというポイントがあります。葉にはシュウ酸と呼ばれる酸が含まれており、どう調理しても非常に酸っぱいです。ルバーブのお友達なので肉料理などに合せるとおいしく食べられます。スイバのステーキソースや酸味を活かしたジャムなどはおススメですね。
ベニシジミと言うシジミチョウの食草でもあります。
f:id:aikawa_park:20210306153938j:plainオレンジ色の美しい蝶なので、日当たりのいい場所で見つけられるでしょう。きっと辺りにはスイバがあるはずです。





ヒメスイバ
タデ科
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場所:花の斜面中央
時期:5月
スイバに非常に似た雰囲気を持ちますが、葉の形が違います。スイバの葉の付け根が矢じり型なのに対してヒメスイバは葉の付け根が左右に細長くのびます。探そうと思うとなかなか見つからないそんな植物だと思います。




カラスノエンドウ
マメ科・可食)
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場所:冒険の森付近など
時期:3月~4月
独特な形が特徴的ですが、マメ科の花の特徴がこの形です。蝶形花(ちょうけいか)といい、野菜のエンドウ豆やソラマメもこのような花をつけます。花は2枚の花びらからなり、花中央の部分でかみ合っています。虫がこの中央の台座に乗るとシーソーのように花弁が下にずれ、おしべめしべが出てきます。
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このようにずれることで、下の花びらに乗った虫に花粉をつけます。かっちりとハマっているため、虫に乗られる前に雨が降っても花粉が流されません。



ウグイスカグラ
スイカズラ科・可食)
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場所:森のわたり橋付近
時期:3月下旬
筒形で楽器のような可愛い花をつけます。5月頃に赤い実をつけ、それは薄めたサクランボのような味がします。ウグイスという有名な鳥が鳴くころに花をつけることからウグイスカグラと名づけられています。
この植物はほんのり薄暗い場所に見られることが多いため、公園外でも少し外れた道などに入らないと見られない印象があります。





イロハモミジ
(カエデ科・分裂する葉)
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場所:花の斜面など
時期:4月上旬
秋に紅葉が美しいカエデの仲間の中でも、最もメジャーな種類がこのイロハモミジだと思われます。イロハとはいろは歌の事を指し、葉のギザギザをいろは歌をうたいながらなぞったことに由来します。(いろはにほへとちりぬるをの歌です)紅葉は有名ですが花は知られておらず、4月初めころにひっそりとつけます。緑と赤の色合いがとても綺麗ですよ。
園内ではふれあい広場などでカミキリムシの食害を受けている木が見れます。ゴマダラカミキリやアオカミキリがカエデの仲間に入ることが多いようです。





ヒナウチワカエデ
(カエデ科・分裂する葉)
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場所:風の丘
時期:4月中旬
風の丘周辺に3本だけ植えてあります。紅葉が綺麗なモミジの仲間の中でも色合いがグラデーションになるため特に綺麗な種類です。モミジには雄花(おしべの機能だけを持つ)とめばな(めしべの機能だけを持つ)の2種類の花があります。白が雄花、赤が雌花です。見比べてみましょう。ヒナウチワカエデは花が下向きに咲き、似た植物のオオイタヤメイゲツはより大型で花が上向きに咲く特徴があります。




ナガミヒナゲシ
(ケシ科・外来種
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場所:パークセンター前
時期:4月下旬~5月
高く立ち上がった茎に鮮やかなオレンジ色を付ける外来種です。コンクリートの隙間などの場所でも生育でき、進入すると辺り一帯に生えてしまいます。この性質からシーズンになると畑から道路沿いまで幅広いエリアで見かけることになります。集団で生えているのにも理由があり、彼らは他の植物の成長を阻害する物質を分泌し、周辺を独占するのです。これをアレロパシーと言います。
園芸用のポピーとはお友達なため、花の雰囲気に覚えがある方も多いかもしれません。葉も切れ込みが多く特徴的なので確認してみてください。





アメリカフウロ
フウロソウ科外来種
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場所:パークセンター前
時期:4月~5月
様々な場所で見ることができる外来種です。葉はトリカブトのように切れ込みが入り、赤やオレンジなどの色をしていたりします。フウロソウの仲間は5枚の花弁を持ち白系~ピンク色の物が多いです。花の後に特徴があり、瓶のコーラのように細長い種が横並びでつきます。刺激ではじけ飛ぶ面白い種ですよ。


カリン

バラ科・作物)
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場所:パークセンター前
時期:4月下旬
お酒やはちみつ漬けなどに使われる植物ですが、バラ科というのはあまり知られていないと思います。5枚の花びらとおしべの数を見るとバラ科の特徴にそのまま当てはまっています。生のままでは有毒ですが、アルコールなどで加工することで利用できるようになります。




アカバナユウゲショウ
アカバナ科・花弁4枚)
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場所:ふれあい広場
時期:5月~6月
夕化粧は日が傾き始めのころから花が咲くことから名付けられていますが、実際には昼間でも結構咲いています。鮮やかな赤い色はとても美しく、思わず写真を撮りたくなるような色合いです。アカバナ科は花弁を4枚持ちます。5月以降に同じ科のマツヨイグサの仲間を目にします
園内の色々な場所で見ることができますが、冒険広場横の道路を挟んだ芝生がおススメです。そこではシロバナ種も自生しています。

あいかわ公園 山野草図鑑 春 紫色の花

アオキ
(アオキ科・雌雄異株(おすとめすが別の花))
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場所:ふれあい広場奥
時期:4月上旬
木毎に雄雌が異なる木です。花の時期によく見比べてみると、4つの雄しべが付いている雄花(おばな)か、中心に1つのめしべを持つ雌花(めばな)かが分かります。写真の物は4つのおしべがあるので雄花です。
アオキは冬においしくない赤い実をつけるのですが、食べるものが少ない時期には鳥たちはアオキを食べるしかないのです。
驚いたことに実は9割近くが種です。非常にまずい。


アネモネ
(園芸種・有毒)
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場所:パークセンター花壇
時期:3月
園芸で人気の高いキンポウゲ科植物です。毒を持つキンポウゲ科植物とシカの食害があるあいかわ公園は相性が良く、クリスマスローズと並んで植えられています。キンポウゲ科は花を支えるガクと花弁が同じ形をしているのが面白い点で、花をひっくり返すと本来あるはずのガクがないことに気が付けるはずです。


ハナニラ

(園芸・有毒)
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場所:パークセンター前花壇
時期:3月~4月
可愛らしい星形の花が人気の植物です。ニラ臭がする有毒植物と言うことで、誤食による食中毒の発生例があります。
花は↑のアネモネと同じく花びらとガクが同じ形を取っているタイプです。花に注目してみると手前に3枚奥に3枚とくっついているのが分かるかと思います。


ウラシマソウ
サトイモ科・有毒
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場所:花の斜面など
時期:4月中旬
長く飛び出た付属体(ふぞくたい)を浦島太郎の釣り竿に見立てたことから名付けられています。付属体の付け根には本当の花があり、トウモロコシのような形をしています。独特の匂いを持ち、ハエの仲間をおびき寄せて花粉を運んでもらい受粉します。葉にも特徴がありぐるっとまいたような櫛のような見た目をしています。
なので葉もかなり印象に残ります。
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まるで手を大きく広げたかのような葉です。見たことのある方も多いのではないでしょうか?




ミミガタテンナンショウ
サトイモ・有毒
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場所:森のわたり橋付近
時期:3月~4月
白色の物や紫色の物など多少の色の差が見られます。花のように見えている紫色の部分は、付属体(ふぞくたい)の付け根にある本当の花を守るための苞(ほう)と呼ばれる部位で、サトイモ科の苞は特に大きいため仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれます。仏像の後ろの炎に見立てているようです。入口には返しがついており、一度入るとなかなか出られませんが、雄花には出口が付いており、花粉が運べるようになっています。一方で雌花は中も狭く出口も狭い罠のような作りになっています。
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雄花の出口。なかなか賢い植物と言わざるを得ませんね。








カキドオシ

(シソ科・可食)
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場所:ふれあい広場奥など
時期:3月~4月
地を這い、垣根を通ることから名付けられています。シソ科植物は香りが強く、葉をもむと独特の香りが楽しめ、これを乾燥させることでお茶にすることができます。また、香草としても活用できますが大量に食べると体に良くないようです。花の模様はネクターガイドと呼ばれ、虫たちに蜜のありかを教えています。
垣根を通すことから分かるように、雑草としてかなりうっとおしい植物です。しかし、花は可愛らしいので大目に見てあげましょう。







キランソウ
(シソ科)
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場所:日当たりのよい所
時期:2月~6月
たいていどこでも見られる山野草です。上に一枚下に一枚の唇形(しんけい)の花を持ち、舌側の大きな花びらに蜜を食べに来た虫が乗ると、てこの原理で花が垂れ下がり、上の雄しべについている花粉が虫の背中につけられるという戦略を取ります。自分の手で実際に試してみましょう!
地面にべたりと張り付く様子からジゴクノカマノフタと言う別名があります。下に地獄が続いているか確認してみるのも面白いかもしれませんね。





オカタツナミソウ
(シソ科)
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場所:パークセンター前など
時期:5月
形がとても面白いタツナミソウの中でもとても花付きが良いのがこの種類です。花がまとまってつくため見た目のボリュームがとてもあります。花の形は前に出たホトケノザなどよりもよりがっちりとしており、ネッシーの首のようなかわいい形です。特徴的な形から園芸で植えられることも多い種類です。
一方で似た種類が多く、種類の特定が難しい花でもあります。ここでは花がまとまって生える点や色合いの濃さ、草丈が高いなどからオカタツナミソウとしています。
タツナミソウ、コバノタツナミソウ、シソバタツナミソウ、ヤマタツナミソウなどなどあげると切りがありません。





ショカッサイ
アブラナ科・花弁4枚)
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場所:風の子橋
時期:3月~5月
春に日当たりが良い場所であれば大抵目にすることができる植物です。アブラナの仲間は4枚の花弁を持ちます。これに加えて面白い特徴が6本の雄しべの内4本が長い4強雄しべという特徴を持つことです。長さを変えることでより花粉をつけやすくする戦略をとっています。
この植物は別名が多いことで有名です。ショカッサイのほかにオオアラセイトウやムラサキハナナの名があり、人によって呼び方が違うので、会話がかみ合わないことがあります。




ジロボウエンゴサク

(ケシ科)
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場所:風の子橋
時期:3月下旬~4月上旬
春の時期にだけ葉と花をつける植物です。それ以外の季節は根っこで過ごします。細長い花の奥に蜜を蓄えており、ビロードツリアブなどの口が長い昆虫に蜜を運んでもらいます。似た種類がいくつかあるため色ではなく葉の形で見分けるようにしましょう。花が付いている柄の付け根に葉が付いています。
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ここが生クリームホイップのような形ならばジロボウエンゴサクで、お寿司に入る緑色のバランのような形ならヤマエンゴサクです。
少々分かりにくいかもしれませんが、花が付いている柄の付け根を見てみてください。三角おにぎりのような形をした葉が見えるはずです。



ムラサキケマン
(ケシ科)
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場所:ふれあい広場奥など
時期:3月下旬~4月
日当たりの悪い場所に春見られます。ジロボウエンゴサクと似ていますが、葉の形花の色が異なります。葉はかなり細かく、白い斑点のようなものが入ることが多いです。花は紫色を基本として白が入るなど濃淡様々な色があります。
アゲハチョウの仲間ウスバシロチョウの食草で、最近では数を減らしている貴重な種類です。
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タチツボスミレ
(スミレ科・花弁5枚)
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場所:冒険の森入口など
時期:2月~4月
日当たりのよい所で普通に見られるスミレです。見分けにくいスミレの中でも分かりやすい種類で、写真中央のオレンジ色の部分に付く柱頭(ちゅうとう)の形が白い線のような形になります。見分ける際には、色よりも柱頭の形や葉の形、左右の花びらに毛が付いているかなどに注目するのがおススメです。
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(参考までにマルバスミレの柱頭です。カマキリの頭のような姿をする特徴あがります。カマキリ型の柱頭が一般的なので、見分けるポイントになります。)




ナガバノスミレサイシン
(スミレ科)
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場所:森のわたり橋より奥の山側
時期:3月下旬~4月上旬
花の雰囲気だけを見るとタチツボスミレと間違えてしまいます。柱頭の形に注目してみると、細い線の先が逆三角形のような形になっています(カマキリ型)。カマキリ型の柱頭と、葉の大きさ、そして横から見た時のお尻の形(距(きょ))で見分けられます。葉の大きさが全然違いますね。
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ナガバノスミレサイシンの根元です。スミレサイシンの仲間はスミレの仲間と違い、花の時期に葉がほとんどないか、もしくはちょこっとだけ出ているという特徴があります。根元がスカスカなのです。そのため、地面から花が生えているように見えます。
太平洋側ではナガバノスミレサイシン(葉が長いです)が、日本海側ではスミレサイシンが見られ、綺麗に分布が分かれています。




ヒメスミレ
(スミレ科)
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場所:パークセンター前の植込み
時期:3月~4月
日当たりのよい場所を好む最小のスミレです。花は1cm程度の大きさで濃い紫をしています。このサイズは他にないため、簡単にわかります。特徴に注目してみると、左右の花びらの部分に毛が生えており、距の部分は花弁の紫色に対し白色と違う色をしています。
毛の有無は柱頭の形と並んでスミレの種類を見分けるのに重要なポイントになります。ヒメスミレはサイズで分かるのでいいですね。




ノジスミレ
(スミレ科)
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場所:花の斜面
時期:4月
普通のスミレと似ており、見分けるのが難しい種類です。左右の花びらに毛が付いていないかいるか、葉の縁が波のようにギザギザするかまっすぐかでノジスミレとスミレに見分けていますが実物を見て慣れるのが一番だと思います。
花よりも葉の形に注目する方が簡単でしょう。




ヒメウズ
キンポウゲ科・有毒)
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場所:冒険の森入口
時期:2月~4月
ウズ(烏頭)とは、猛毒で有名なトリカブトの事を指しますが、彼らとは異なる形の花を持ちます。しかしトリカブトと同じく全草に毒を持ち、食べることはできないとされています。花自体は薄い紫色で、写真の物よりもずっと立ち上がるため、とてもかわいい花です。毒を持つ植物は天敵がいないため、まとまって生えることが多いです。




マツバウンラン
ゴマノハグサ科
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場所:パークセンター前
時期:4月~6月
マツバとは松葉の事を指し、松の葉に似ているという意味です。ツタの葉ににたツタバウンランなどがあり、花は似ていますが葉の形が全く違うため見分けるのは簡単です。身近で見られるゴマノハグサ科の植物は似たものが多いため葉の形などのポイントを見ていきましょう。




ムラサキサギゴケ
ゴマノハグサ科
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場所:ふれあい広場子供トイレ横
時期:3月下旬
花の形がマツバウンランと似ていますが実物はマツバウンランの2倍以上大きいです。白色の花のトキワハゼと似ています。色合いと大きさでも見分けられますが、花の上側につく飛び出した部分が裂けるのがムラサキサギゴケの特徴です。また、地面を這うためたくさんあります。
ランナー、または匍匐茎(ほふくけい)と言う茎を周囲に伸ばして、その根が降りたところから新しい株が発生するのです。これはトキワハゼにはないので、根が横に伸びているかどうか確認してみましょう。

トキワハゼ
ゴマノハグサ科
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場所:ふれあい広場の端など
時期:3月~4月
ムラサキサギゴケと色合いが似た植物です。ムラサキサギゴケより1周りほど小さいため、見比べれば大きさでも分かります。
シソ科やゴマノハグサ科のお花は一見すると地味ですが、紫外線を見ることができる虫たちからすると派手に見えています。
地面に映えながらも虫たちに見つけてもらうための戦略ですね。



ムスカリ
ユリ科・園芸種)
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場所:パークセンター前
時期:4月
ぶどうのようにたくさんの花をつけます。花をすりつぶすと分かりますが、かなり粘り気がありぬるぬるとしています。ぬめりけを虫に付けることでより効率的に花粉を運んでもらおうとする戦略です。園芸種のため、身近な所でも見かけることができる種類です。




ランヨウアオイ
ウマノスズクサ科)
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場所:森のわたり橋奥地
時期:4月上旬
山梨県のエリアを縦断するフォッサマグナによって生まれた植物で、全国を見ても丹沢箱根付近のエリアでしか見ることができない植物です。花は地面を覆う葉の根元に生えるため、知らなければ見ることができません。しかし葉にもそれぞれ面白い模様があり、カンアオイの仲間は観賞用としても人気高い植物です。
神奈川では局所でしか見られないギフチョウの食草でもあります。山を越えたギフチョウが迷い込んだりしてくるとかなり嬉しいのですが、なかなか難しそうですね。




シラン
(ラン科・園芸)
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場所:南駐車場入口
時期:4月下旬
自生では滅多に見ることのないシラン(紫蘭ですが、園芸店では比較的見かけます。園芸用とはいえランの仲間のため、美しい色合いを楽しむことができます。ランの仲間にはいくつか特徴が見られます。シランでは、葉が茎を抱く様子、花びらの数などの花のつくり、葉の脈の形などをじっくり見ることができます。ぜひ観察してみましょう。




モカタバミ
カタバミ科外来種
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場所:花の斜面
時期:5月
園芸用として庭先や道端で見かけることの多いお花です。紫色のカタバミにはいくつか種類がありますが、モカタバミは花の中央がより濃い紫色になることや根っこがイモのような形になるという特徴があります。つまり団子のように丸い山のような姿になります。似ているムラサキカタバミと見比べてみてください。




ムラサキカタバミ
カタバミ科・園芸種)
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場所:南駐車場
時期:5月
園芸用として庭先などでよく見かけるカタバミです。イモカタバミと似ていますがよく見ると花の中心に色がついていないため簡単にわかります。葉の光沢と厚みが強く、黄色のカタバミの葉を3枚程度重ねたくらいの厚みがあります。
同じタイプにはハナカタバミと言う大型のものがいます。




ヒメハギ
(ヒメハギ科)
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場所:風の丘
時期:5月
日当たりのよい場所で見つかることがあるお花で、少し変わった形をする植物です。ヒメハギ科自体が日本で数の少ないグループです。目につくひも状の部分は付属体(ふぞくたい)と呼ばれ、ひも状付近の濃い紫色が花びら、外側の羽のようなものがガクと呼ばれる葉が変化した部分です。濃い紫色の2枚(根元で2枚はくっついています)とひも状の部分に繋がる部分の計3枚の花びらに加え、それらを支える大きな外側のガクが2枚という難しい構造になっています。




ニワゼキショウ

(アヤメ科・同花被花(どうかひか))
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場所:ふれあい広場など
時期:5月~6月
日当たりのよい場所で普通に見られるユリの仲間ですが、大きさは1cmない程度のかなり小型の花です。アヤメなどと同じく花びらとガクが同じような色形をした同花被花(どうかひか)という形をとります。
白と紫色の2種類がありますがあいかわ公園では白色の方がたくさん見つかります。セキショウのショウは菖と書き、アヤメの事を指しています。花の形が似ているのも納得ですね。



フジ
マメ科・蝶形花)
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場所:ふれあい広場奥など
時期:5月
5月を代表する有名な花です。写真では1枚ですか実際には垂れ下がるように大量につきます。非常に美しいためフジを目線より上の高さでカーテンのように整えた藤棚やシロバナのフジなど人気の高い種類です。ツルの巻き方の向きでフジかヤマフジか見分けることができます。
花はあまりにも有名ですが、実もかなり面白いです。
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細長い実は、市場に並ぶソラマメなどと同じマメの姿そっくりで、中にはボタン電池のような種が入っています。火を通せば食べられますが、食べすぎると食あたりを起こします。

山野草図鑑 秋冬 黄色の花

園内で9月以降に見られる黄色の花を紹介します。
ヒメガンクビソウ
(キク科)
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場所:森のわたり橋より先のスギ林など
かなり独特な形をした植物で、先端に付いた花がうなだれるようにがっくりと下を向きます。この仲間には姿が似たガンクビソウの仲間が多数あり、恐らくヒメガンクビソウかサジカングビソウかと思われます。ここでは花の大きさが1cm程と大きかったのでヒメガンクビソウとしています。
名前が似たものにヤブタバコがありややこしいのですが、花が写真のように先端に付けばガンクビソウの仲間で、根元に付くようであればヤブタバコと見分けられます。
花の後には粘着質のタネができ、それを動物の毛などにくっつけて種子を飛ばします。



ハキダメギク
(キク科)
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場所:園内各所
黄色い筒状花(とうじょうか)と白い舌状花(ぜつじょうか)を持つとてもかわいらしい花です。堆肥を捨てるような場所に生えることから少し可哀そうな名前が付けられてしまっていますが、秋~冬にかけて安定して見られるいい花です。興味のある方はこの花を分解してみましょう。キクの仲間には1つのお花に見えて2つの花を持つものがいます。それが最初に用語として出した筒状花と舌状花です。形が全然違うのでぜひ見比べてみてくださいね。
似た仲間としてはコゴメギクがあります。姿はそっくりなのですが白い舌状花がとても小さいです。あいかわ公園では見つけられていません。




セイタカアワダチソウ
(キク科・特定外来種
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場所:石小屋ダムなど
秋ならば確実に目にすることのある大型のキク科植物です。繁殖力がとても強いため、一度侵入されてしまうと一気に陣地を広げます。
侵入した彼らは他の植物の成長を阻害する成分を分泌し、自分たちだけでその周辺を独占します。タンポポのように綿毛で種を飛ばすため、簡単に陣地を広げることができ、それでいてコンクリートの隙間などにも侵入できるのが彼らの強みですね。
外国原産の植物は、作業に使われる土砂や家畜飼育用の穀物に種子が混じって入ることもあるため、農地や河川沿いに多く見られます。
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名前の由来は背が高く泡のように見える花の姿にあります。これだけの花をつけるわけですから、タンポポよりもずっと多くのタネができることは想像しやすいですね。晩秋に花を咲かせることでその時期の虫たちにとってはとても貴重な蜜源です。


ヤクシソウ
(キク科)
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場所:山の神付近など
多数の花をつけ、非常ににぎやかな雰囲気を出してくれる秋の花です。ヤクシソウは花が似ている黄色の花たちとは異なり、非常にわかりやすい判別ポイントがあります。花ではなく葉に注目してみましょう。
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ヤクシソウの葉は根元をよく見てみると茎を抱っこするように付きます。花の雰囲気でも分かりやすいのですが困ったときには葉の形も見てみましょう。
上にあるハキダメギクは筒状花と舌状花の2種類の花を持ちますが、ヤクシソウは舌状花だけを持ちます。花の中央に見えるのは花ではなく、それぞれの黄色い舌状花に付いたおしべとめしべです。




コセンダングサ
(キク科・外来種
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場所:園内各所
時期:9月~12月
開けた土地や空き地、河川など様々な場所で見られる引っ付き虫の仲間です。花はとても地味なのですがタネがイガイガ状で服に刺さるため、子供たちがこれのある所で遊ぶと取り除くのが大変です。
センダングサの仲間にもいろいろな種類があります。コセンダングサは花が黄色の物だけな点と葉の形が特徴的なので分かります。
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このように頂点の葉っぱが大きく、それを飾り付けるように左右にちょんちょんと小さな葉が出ます。同じ外来種アメリカセンダングサは葉が細いので葉だけでも見分けられますよ。



コシロノセンダングサ
(キク科・外来種
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場所:冒険広場下
時期:9月~12月
コセンダングサの変種とされていて、黄色い花だけであったコセンダングサに小さな可愛い白い花びらが付いているのが特徴です。コセンダングサは筒状(とうじょう)の花だけなのですが、コシロノセンダングサは筒状と舌状(ぜつじょう)の2種類の花を持つことになります。あいかわ公園で見られるセンダングサの仲間は上記2種です。この2種もセンダングサらしい種をつけます。
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写真でピンと来た方も多いでしょう。黒いイガイガ状のアレがセンダングサのタネです。種だけでも種類を判断することができます。イガの先にある突起の数に注目してみましょう。コセンダングサの仲間であれば先が2~4つに分かれ、抜けないように返しが付いています。
アメリカセンダングサの場合は先端は2つに分かれ、コンセントプラグのような姿をしていますよ。

山野草図鑑 秋冬 白色の花

9月から見られる白色のお花をまとめています。写真が多いので容量などに注意です。

イタドリ
タデ科・在来種・可食)

場所:冒険広場上の道路
時期:9月上旬~
桜並木ほどの勢いはないもののあいかわ公園のイタドリは程よくしなだれることで白色のアーチを描いています。波のようにも見える大変綺麗な花なので、お花好きの方にはぜひ見て欲しい光景です。タデの仲間は写真のように細く伸びた枝に多数の花をつけるものが多いです。スカンポとも呼ばれ、昔から川沿いに住んでいるような人であればこの茎を剥いてかじったことがあるかもしれません。強い酸味があり、好きな人は好きな味です。

花は遠目から見ると茎にそのままついているように見えますが、よく見ると細長い筒のような姿をしています。花びらすべてが分かれずにくっつく合弁花(ごうべんか)と言う花の種類です。
右の写真は茎であり、これは細すぎますがもっと太めの物であれば皮をむいて料理などに使えます。フレンチでおなじみルバーブの仲間なので意外とおいしく料理できますよ。私はジャムを作ったことがありますが、見た目は茶色で最悪なものの、酸味と甘みがあり面白い味でした。

花期は9月頃で虫たちがよく集まります。




ヒヨドリジョウゴ
(ナス科・在来種・有毒)

場所:森のわたり橋など
時期:9月上旬~
林縁などで見られるつる性の植物で、独特な葉の形とフワフワの質感から非常にわかりやすい植物です。ナス科の自生植物は毒がある植物が多く、このヒヨドリジョウゴも毒を持っています。鳥のヒヨドリが名前に付けられていますが、特に好んで食べるわけではないようで、自然下に残されてることが多い印象です。花はバドミントンのシャトルのような形をしていますが、これはタイミングによってはしっかりと開いていたりします。ナスの仲間は白い花で5つに分かれる花を持つので覚えておくと役に立つと思います。

葉は見ての通りふさふさであり、葉の付け根の部分が左右両方に飛び出る独特な形をするものが多いです。しかし個体差も激しく、ものによっては付け根が両方ではなく右側だけ飛び出ていたりします。その辺の葉の多様性も含めて見分けやすい植物と言えます。秋終わりには赤い実をつけますが、それも毒なので食べないようにしましょう。




カラムシ
イラクサ科・在来種)

場所:日当たりのよい場所
時期:9月~
日当たりのよい場所で見られるカラムシは繊維が非常に丈夫なため、茎の繊維を利用して紙を作ったり織物に使われたりしていました。葉に触れるだけでも和紙のようなフワフワ感を味わうことができるため、非常に触り心地がいいです。花は毛虫のようにニョキニョキとたくさんつき、ブドウの房のようにたくさんつきます。写真をよく見ると白い線状の物が出ており、これはめしべです。カラムシは安全なもののイラクサ科の植物は針状のトゲを持つものがあり、刺さると酸の成分が注入されるため腫れるものもあります。あいかわ公園にはその植物はないので安心してください。

カラムシの花は草の上部だけでなく茎の途中からもたくさんつきます。写真はどちらも雌花(めばな)ですが、カラムシは上部に雌花を咲かせ、下部に雄花を咲かせるという面白い特徴があります。カラムシを見つけた時にはその花の違いを確認してみましょう。

5~7月にかけては美麗なラミーカミキリが高い頻度で見られます。



センニンソウ
キンポウゲ科・在来種・有毒)

場所:ふれあい広場の奥など
時期:9月上旬~中旬
他の植物に絡みながらたくさんの白い花を咲かせますが、うっかり触ったりしないように気をつけましょう。センニンソウを含めこのキンポウゲ科の仲間は毒を持つものが多いです。センニンソウの場合この草が持つ汁に触れるだけでもかぶれたりするとされているので気をつけましょう。キンポウゲの仲間は面白い花の特徴があり、花びらを持ちません。写真の白い部分はガクと呼ばれる部分で、葉が花のように変化したものです。

既にしおれかけではあるものの花のつくりを見てみると白い4枚のガクとそれが付いている茎をよく見ると何もないことが分かります。そして4枚のガクより内側にはもうおしべがついていますね。このように茎、花びらのようなもの、おしべと続く花はその花びらのように見えるものはガクが花びらの役割をしているものです。少し難しいかもしれませんね。




オオアレチノギク

(キク科・外来種

場所:パークセンター付近
時期:8月下旬~
日当たりのよい場所で普通に見られるオオアレチノギクは、芽生え時こそ小さいもののぐんぐんと背を伸ばし1m~2m程に成長します。花はかなり拡大して撮っていますが、小さな筒形の花で、これで満開状態です。キクの仲間は筒状花(とうじょうか)と言う細い線状の物を詰めたような花が見られるため覚えておくと役に立つと思います。写真のように花をすべて包み込む小さな粒状の部分を総苞(そうほう)と呼び、キク科のこの形の花によく見られます。
ヒメムカシヨモギと言う非常に似た植物がありますが、そちらは白い花びらの部分が飛び出して目立つので、花びらの具合に注目してみましょう。



クルマバザクロソウ

(ザクロソウ科・外来種

畑地などで普通に見られる花ですが、地面を這い葉が車の車輪のようにぐるっとつく特徴があります。花も同様にこの葉の付け根からぐるりと巻くように付く特徴があるためこの点から在来のザクロソウと見分けられます。ザクロソウの場合花をつける茎がかなり多く目立ちますよ。花びらは5枚でそれぞれバラバラに付く離弁花(りべんか)という花の付き方です。

5枚の花弁を持つためハコベなどを含むナデシコの仲間に非常に似ています。左がザクロソウ科で右はナデシコ科です。そっくりですね。しかしセンニンソウで話した花のつくりの部分が見分けるポイントです。右のナデシコの仲間は花弁の後ろに緑色のガクが付いています。ナデシコ科は花びらとガクを持つ植物なのです。一方ザクロソウの仲間はガクが花びらの代わりをしている植物なので、花の後ろに緑色の部分がありません。この点に注目してあげればばっちりですね。




ネナシカズラ

ヒルガオ科・在来種・寄生)

場所:石小屋ダム
時期:9月~
光合成をおこなわずに他の植物に絡みついて相手の茎を溶かし、そこから寄生根を差し込んで栄養を横取りする変わった植物です。葉緑素を持たない植物は写真のツルのように白色をしているものが多いです。大きく成長したものには葉がないものの、芽生え始めた時には葉が生えており、すぐ他植物から栄養を奪い取れないため自分自身で光合成をして栄養を作ります。外来種アメリネナシカズラがいますが、写真のとおり白い花が茎のような柄に付くという点から判断できます。

ネナシカズラは他の植物に絡みついた後にその植物とくっついている部分から茎の繊維を溶かす成分を出します。写真のように溶けたプラスチックの如くドロドロに溶けてしまうため、寄生された側の植物はかなりのダメージを受けてしまいます。多くのつる植物が日光を浴びるため、上を目指して登っていくのに対しネナシカズラは栄養を奪うためにつるを伸ばすので横に広がっていきます。




オトコエシ
スイカズラ科・在来種)

場所:石小屋ダム
時期:9月上旬~
初秋に白いお花を杯のようにつける姿が目立つ植物です。高さもかなり大きく、1m近くの大きさになります。スイカズラの仲間は5枚の花弁を持ち、散房花序(さんぼうかじょ)と言う花の付き方をします。これは花をよく見ると分かるのですが、花の下の方の柄程長くなり、上に行くにつれて短くなります。なので全体を見ると綺麗なブロッコリー状の姿に見えるというわけです。

葉の付き方は左右両方に葉を出す対生(たいせい)であり、葉の形もかなり独特です。根元の切れ込みがかなり目立つので分かりやすいですね。オトコエシとは見た目が丈夫なことを男に例えたものであり、雰囲気の柔らかいものをオミナエシと言います。
写真はありませんが園内にはメタリックに輝くハチ、セイボウの仲間がおり、この時期の白いお花に訪れていることがあります。



メドハギ
マメ科・在来種)

時期:9月~
場所:石小屋ダム
秋になるとやたらと目立つ草丈1m程になる豆の仲間で、河川沿いや開けた環境でよく見られます。すらっとした株たちから豪勢な花をつけるため、草自体の印象がかなり強く残る植物です。花は白色をベースとして虫へのアピールとして蜜のありかを示す紫色の部分があります。
株の印象を見るとマメっぽくはありませんが、例えば葉を見てみるとマメの仲間によく見られる3枚1組の葉をしていたりと種類を絞り込むのに役立つ情報が見られます。全体ではなくしっかりとポイントを押さえてみるようにしましょう。




ツルグミ

(グミ科)

時期10月頃
場所:南山
秋の林内で多数の細長い白い花をつけるため、とても目立つ植物です。秋咲きのグミの仲間は3種類ほどあるのですが、あいかわ公園ではツルグミとナワシログミの2種類が見られます。この2種類を見分けるポイントは花の時期であれば花の形と、葉の姿を確認しましょう。ツルグミは花の筒状の部分が細くなります。

葉の形にも注目してみましょう。ツルグミの葉は先端が細くとがります。そして裏側には褐色のうろこ状の毛が目立つため、茶色っぽい印象を受けます。
他の植物に垂れ下がって成長するのですが、それがつる植物のように見えるのです。
次のグミと比較してみましょう。



ナワシログミ
(グミ科)

時期10月頃
場所:石小屋ダムなど
秋に多数の花を咲かせ、蝶などの昆虫に大人気の花がこちらのナワシログミです。ツルグミと比べ、花の筒の部分が太く、花の先端と大きさが変わりません。また、写真に写っているようにトゲが大きく生える特徴もあります。このような下向きの花は、花にしっかりつかまれる昆虫たちに花粉を運んでもらっています。
花でも見分けられますが、葉の形でも見分けられます。

左が先のとがるツルグミで右が丸みを帯びるナワシログミです。裏側を見るとツルグミは茶色っぽくてナワシログミは白っぽいです。
可愛い名前の由来は、稲の準備をする頃に(4月5月)おいしそうな実をつけることにあります。



コウヤボウキ
(キク科)

時期11月~
場所:南山
南山登山道を進んでいると多数目にするのがこちらのコウヤボウキです。花の形から分かるようにほうきのような姿をしています。花が終わった後の綿毛の姿はまさにほうきのようで、とてもユニークな姿をしています。
こちらの花は筒状の花だけを持つキクの仲間で、イソギンチャクのように見えます。
この花にはおしべが目立つ時期とめしべが目立つ時期があります。まず雄しべを出すことで、自分の花粉で受粉してしまうことを避ける植物の戦略の1つです。写真では花粉を出す時期が終わり、ちょうど移行している時期です。。この後、受粉する器官が発達します。花の中に赤くて目立つものがあります。よく見るとこの先が開いていますね。ここから受粉する器官(花柱)が伸びてきます。


カシワバハグマ
(キク科)

時期:10月頃
場所:南山
南山の薄暗い場所で見られ、コウヤボウキを立派にしたような印象を受ける植物です。写真は花後で、本来はとても鮮やかです。キクの仲間には花を根元から支える総苞(そうほう)があるのですが、コウヤボウキとカシワバハグマはこの部分が鱗のようにとても目立ちます。2種は花の形だけを見てしまえば似ていますが、葉の形が違います。

名前にカシワとあるように、柏もちを包む葉になんとなく葉の形が似ていることからカシワバの名前が付けられています。写真左はカシワではありませんが、カシワの仲間の葉です。右がカシワバハグマの葉です。切れ込みの雰囲気がそれとなく似ていますね。コウヤボウキはこのような草ではなく、1m程の低木になるのでその辺でも見分けられます。



マツカゼソウ
(ミカン科)

時期:9月10月
場所:南山、森のわたり橋奥
花も少なくなる季節の林床を白くにぎやかに飾ってくれるのがこちらのマツカゼソウです。こう見えてミカンの仲間であるため、葉をちぎるとミカン科の香りがします。しかし香りはミカンの仲間の青臭さを濃縮したようなものになっており、とても強烈です。この特徴のためかシカの食害にあいにくい印象を受けます。水分が豊富な場所を好むようで、沢筋のような場所でよく見られます。マツカゼソウは葉にも特徴があります。

丸い切れ込みが多数入っているように見えます。このようにたくさんの葉が枝分かれしているものを複葉と言います。

山野草図鑑 秋 赤色の花

9月以降に見られる赤色の花を紹介していきます。写真量が多いです。


アレチヌスビトハギ
マメ科外来種
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場所:ふれあい広場の奥など
時期:8月下旬~9月中旬
マメ科らしい大きな旗状の花びら一枚と、細く突き出た花びらからなります。荒れ地の名の通り乾燥した場所や林の縁などでよく見られ、花と種を多数つけます。突き出た花びらは虫などが乗るとめくれ、中から雄しべが顔を出します。他の花と異なり、めくれて出る関係から雄しべがまとまっています。

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左はくっついているおしべで、花びらがめくれた時に虫の腹側に花粉をまとめてつける戦略のため一カ所にまとまって付いています。花びらについている黄緑色の目玉模様は虫に蜜のありかを示す模様であり、虫に花粉を運んでもらうタイプの花ではこのような模様が見られます。右は種の写真でこのヌスビトハギの仲間は動物などの毛にくっついて移動するため、服などの繊維に張り付きます。引っ付き虫として遊べます。




ヌスビトハギ

マメ科・在来種)
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場所:ふれあい広場の奥など
時期:9月上旬~
数mm程度の白と鮮やかなピンク色の花を穂のように多数つけ、ピンクの枝のように見えるとても綺麗な花です。小さいですがしっかりとマメ科の花の形をしています。つる性が多いマメ科ですがヌスビトハギは普通の草で、この穂のような部分がにょきにょきと伸び、長いものでは1mにも届きます。
名前の由来はその種にあります。
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アレチヌスビトハギが3~6個とランダムに付くのに対してヌスビトハギは2つ付きます。このタネの形が物を盗んだ泥棒が抜き足差し足と密やかに帰るときの足の形に見えることから名付けられました。同じく動物に張り付くため夜に盗みに入った人に張り付くという意味にもとらえられます。ちゃんと鞘もついていて豆です。



ヤブマメ
マメ科・在来・つる性)
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場所:ふれあい広場の奥など
時期:9月上旬~
フェンスや林の他の植物によく絡みついているマメ科の植物で、少し長さのあるマメ科の花をつけます。花は白色と淡い紫が目立ち、一カ所にまとめて付くというのを繰り返します。豆らしい豆をつけ、地下にもできる豆は食べることもできるそうですが、私は食べたことがありません。
つる性の野生豆は種類が多く、見比べてみないと分かりません。
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ヤブマメの場合は葉に丸みがあり、しわが多い点が挙げられます。3枚の葉はマメ科ではよく見られるので、枚数ではなく葉先がとがるかどうかやしわ、形に注目してみると見分けやすくなるでしょう。豆や花の色も種類によって違います。形が少し似ているトキリマメなどは花が黄色ですよ。



ネコハギ
マメ科・在来種)
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場所:冒険広場上の道路、石小屋ダム
時期:9月上旬~
日当たりのよい場所などで見られるマメ科の仲間で、秋によく見られる萩の仲間は上を目指して伸びていくものが多いのですが、このネコハギは地面を這うという面白い特徴があります。葉も3枚の綺麗な円形からなり、草全体を通して白い毛が生えるなどの特徴から豆の仲間の中でも分かりやすい部類です。このような生え方からまるで緑の絨毯のように生えていることもあります。
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花は極小ですが花付きは良いようです。極小であってもしっかりとマメ科の基本的な形をしていることが分かります。これまでの種類を見てもお分かりの通り、野外でこのような2枚の花弁を持つ花を見つけたら豆の仲間です。花、豆、葉などを記録しておけば種類の特定は簡単ですよ。



キツネノマゴ
(キツネノマゴ科・在来種)
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場所:ふれあい広場の奥など
時期:8月中旬~
舌をべろりと出したような姿が印象的な秋によく見られるピンク色の花を持ちます。キツネノマゴの仲間は種類が少なく、身近では2種類ほどしか見られません。大きな舌状の花びらは虫が乗るための足場でもあります。虫に花粉を運んでもらうお花なので花弁を見てみると白い模様が入っています。それが虫への蜜のありかを教える模様の役割を持っています。
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塔のように突き出た苞(ほう)が目立つ植物でもあります。苞やガクは難しい用語ですが、花びらを外側から支えるのがガク、花びらとガクを外側から支えるのが苞とイメージすると掴みやすいかと思われます。これから冬に向けて1つから2つの花をぽつぽつと咲かせ続けます。




メハジキ

(シソ科・在来種)
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場所:石小屋ダム
時期:8月~9月下旬
石小屋ダム方面で見事に咲き乱れる紫の花がこのメハジキです。葉っぱがあちこちに弾けるように付いており、1m近くある草丈も相まってまるで紫色の壁のように立ちはだかります。これほどの群落はなかなか見られないため、8月頭辺りの時期に一度見てみることをお勧めします。シソ科植物のため花弁は上と下1枚ずつからなり、このような花はハチの仲間が花粉を運ぶのに大きな役割をはたしています。
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メハジキの花はこれぞシソ科の花と言う感じで、写真上部の花びらに点のように張り付いた花粉が付いています。花の蜜を吸おうと思ったクマバチなどの大型のハチが下の花びらに止まると花びらがその重さでびよーんと垂れて虫の背中に花粉をつけるという戦略です。二唇形(にしんけい)という形を覚えておけばシソの仲間は分かりやすいですよ。


カワミドリ
(シソ科・在来種)
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場所:石小屋ダム
時期:9月~
石小屋ダムでメハジキとともにたくさん生えている明るい紫色の花はこちらのカワミドリです。シソ科の中でもかなり強い香りを持ち、ハーブティを飲んだことがある方であれば馴染みのある香りだと思います。花を見つけたら葉をちぎって香りを嗅いでみましょう。花と葉にもかなり特徴が見られます。

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花からはおしべが飛び出しています。めしべも同じく飛び出しており、その先端が3つに分かれています。花が終わっても残された部分が紫色をしており、花の時期にはしおれた花があっても紫色に見えます。葉の裏にはスポンジのようなぶつぶつがあります。これは腺点(せんてん)といい、香りの成分を蓄えている場所です。葉を破ったり、虫がかじったりするとここから香り成分が飛びます。香りの強い植物に見られます。



タツナミソウの仲間
(シソ科・在来種)
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場所:南山入口付近
時期:10月頃
あいかわ公園内ではオカタツナミソウがとてもたくさん見られます。そことは別の南山入口付近に季節外れではあるものの小柄のタツナミソウの仲間が咲いていいました。この仲間は種類がたくさんあるため、タツナミソウの仲間とします。見分け方には花が上部にまとまって生えるか、階段のように段階的に付くかと言ったポイントや、花の紫色の濃さ、茎に付く毛が上を向くか下を向くかなど様々あります。
興味のある方は実物を見てみるのも面白いと思います。園内では数は多くないもののぽつりぽつりとタツナミソウの仲間が見られます。





ヤマクルマバナ
(シソ科・在来種)
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場所:石小屋ダム方面
時期:9月~
立ち上がる茎と、そこから白い小さな花を多数つけるシソ科の植物です。クルマバナの仲間は花の雰囲気だけを見ると似た姿の物が多く、見分けにくいです。特に類似のクルマバナとは花の色が白色ならヤマクルマバナと分かります。イヌトウバナと言う似た花もありますが葉に丸みがあるヤマクルマバナと先端に向けて細くなるイヌトウバナと見分けます。似た花が多く、種類を特定するのが難しい種類です。



ホトケノザ

(シソ科)
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場所:園内各所
時期:通年
赤い花をニョキりと立ち上がらせるシソ科らしい可愛い花です。シソの仲間は立ち上がっている細い筒の部分の根元に蜜を蓄えているため、虫たちを大きく開いた顎のような部分の下側にのせようとします。てこの原理で花が垂れ下がり、上あごに付いた花粉を虫の背中に付けるのですね。ホトケノザは名前の通りこの座布団のような大きな葉を仏様が座る場所に見立てています。この花の面白い所は閉鎖花(へいさか)を作ることにあります。
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身近な植物ではスミレの仲間にも見られるのですが、閉鎖の名前の通り開くことなく自らで受粉して種を作ります。クローンのようなものですね。
開く花は新しい遺伝子を作り多様性を広げ、閉鎖花では自らの数を増やすといった感じです。不思議な世界ですね。



ウリクサ
アゼナ科・在来種)
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場所:ふれあい広場など
時期:8月~
地表付近で多数の小さな紫色の花を咲かせます。花の大きさは5mmほどで非常に小さいので、意識的に探さないと見つけられません。花をつける茎をグイっと伸ばして咲かせるため、注意を払いながら探してみればすぐに見つかります。アゼナの仲間は乾燥した場所というよりも湿地環境でよく見られる仲間なので馴染みがないかもしれません。ウリクサは同じ仲間のアゼナととても似ていますが、ウリクサの葉の端にはギザギザ状になっているため見分けられます。



ママコノシリヌグイ
タデ科・在来種)
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場所:石小屋ダム
時期:8月~
湿った環境でよく見られる鋭いトゲを持った植物です。タデの仲間の花は紙風船を膨らませたかのように根元がくっついたまま袋のように広がります。(合弁花)勢いよく触れると刺さる位のトゲを持ち、茎に対して下向きについています。これを利用して他の植物にもたれかかり、倒れないようにしています。
同じようなタデの仲間ではトゲを持つものが見られるのですが、葉の形を見ることで種類を見分けられます。


イヌタデ
タデ科・在来種)
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場所:花の斜面
時期:6月~
湿った環境や畑のような場所で見られるタデの仲間です。エノコログサ(ねこじゃらし)のように穂のような姿になり、先ほどのママコノシリヌグイのように紙風船状の花を咲かせます。イヌタデと同じ形をした花は非常に多く、外来種を含めて判断が難しいのでイヌタデ(仮定)ですが、見るべきポイントは草丈、花の色、そして茎を包み込む部分です(葉鞘(ようしょう))
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イヌタデはこの茎を包み込んでいる部分の先端を見てみると細長いひも状のものが飛び出ています。花が赤紫色で草丈が50cm程度、付け根の部分がひも状に飛び出ていればイヌタデの可能性が高いです。 逆に言えば背丈が1m近くなっていたり、白色と赤紫色が見られたりしたらそれは外来種タデ科の仲間の可能性が高いです。



サザンカ
(ツバキ科)
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場所:南駐車場
時期:11月~2月
南駐車場で明るく目立つのがこのサザンカです。花はツバキそっくりですが明確な見分け方があります。特に花の咲いている時期であれば簡単に見分けることができます。花が落ちた後に注目してみましょう。
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サザンカは写真のように花弁が一枚一枚落ちる特徴があります。花の時期であれば触れたりしても大丈夫なのですが、春から夏にかけてはチャドクガと言う毒を持ったやっかいな毛虫が好む木でもあるため、それらの時期には気をつけましょう。

植物の葉の形(コラム)

ここでは、複雑に見える植物をより分かりやすく知るためにあいかわ公園の植物写真とともに見るべきポイントをご紹介します。色々な植物に興味がわいてきた方はぜひこれから紹介するポイントにも目を向けて花以外の観察にも挑戦してみてください。
葉の付き方


互生(互い違いに付く)
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葉を見つけたらその葉が付いている柄の部分を見てみましょう。右左右左と順番についていれば互生(ごせい)という生え方です。
多くの植物は互生で葉をつけるため、普通に見られる付き方と言えます。
ふれあい広場の木も多くが互生です。
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カブトムシの木コナラも互生に葉をつけます。


対生(左右同時に葉をつける)
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葉の付く柄の部分を付け根まで見て、そこから左右両方に葉が出ていれば対生(たいせい)という生え方です。互生に比べると対生の葉は数も少なく、種類を判断するポイントになります。スイカズラ科やカエデ科などは対生の葉が多いため、このポイントに注目することでそれらの種類を見分けやすくなります。
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紅葉が綺麗なモミジたちはカエデ科に所属し、対生であることが分かります。


複葉(複数の葉をつける)
葉の軸から複数の葉が出ているものを複葉(ふくよう)と呼びます。
三出複葉(さんしゅつふくよう)
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互生や対生で確認した葉の付く柄がありました。この柄から3枚の葉をつけるのが三出複葉(さんしゅつふくよう)です。
写真のシロツメクサの中心となる軸は3枚の葉の根元、すなわち中心です。この葉の付き方も特徴あるものが多く、これによって見分けられる種類も多いです。
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木に絡みつく有毒な植物ツタウルシも1つの柄から3枚の葉が出ていることが分かります。写真の葉を見てみると全て3枚で1セットになっているのが分かりますね。複葉は1つの柄から葉の枚数を数えますので写真のツタウルシの葉(写真中央)は1枚となります。これが難しいポイントです。


羽状複葉
三出複葉の葉の枚数をさらに増やしたのが羽状複葉(うじょうふくよう)です。1枚の葉が羽のように分裂します。
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風の子橋にあるオニグルミが代表的です。
やはり葉の確認には柄が大切です。写真の葉の柄は左上から伸びているのが分かりますね。つまりツタウルシなどと同様に1つの根元を中心に、多数の葉が羽のようにくっついているのです。写真の葉っぱは10枚程の葉ではなく1枚の葉ととらえることになります。イメージが難しい方は葉から全体を想像するのではなく柄から葉を想像してみてください。
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多くの方は葉とはこのような絵を想像すると思います。このイメージがまさに正解なのですが言うならば1つの柄とそれに付くものを葉と呼びます。つまり
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羽状複葉と言うのはこのように1つの柄に対して複数の葉が付いている状態なのです。このように見てみると羽状複葉が1つの葉であるという点もわかりやすくなりませんか?



羽状複葉の種類
羽状複葉には種類があります。さらに詳しくみてみましょう。
奇数羽状複葉
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葉の付き方の中でも複葉の先端の形に注目します。写真中央下の部分ですね。複葉の先端の形が三出複葉のように3枚の葉になっています。このように複葉の頂点に飛び出る1枚の葉を持つものが奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう)です。頂点が1つだけで奇数となるためこのように名付けられます。最もよく見られる羽状複葉の形で、ほとんどがこれに該当します。森のわたり橋付近のナナカマドや、写真のキハダなど。


偶数羽状複葉

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羽状複葉の先端に注目(写真下側)してみると奇数とは異なり、先端に小葉が付いていないことが分かります。対生のように両手に分かれていますね。このように先端が左右両方に枝分かれする羽状複葉を偶数羽状複葉と呼びます。これはかなり限られた種類に見られる形で、種類の特定が可能です。
マメ科に見られ、身近な種類ではネムノキかジャケツイバラかあると思います。公園周辺では5月頃に黄色く木を染めるジャケツイバラがたくさん見られますよ。f:id:aikawa_park:20200523105855p:plain



輪生(りんせい)
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輪生は名の通り輪のように葉をつけます。3枚以上の葉が、同じ高さの柄から出ていることが当てはめられる条件です。
写真は春の人気者ヒトリシズカですが、ここでは葉の形に注目してみましょう。それぞれの葉の柄が茎に伸びて同じ高さでまとまっています。茎に対して輪に付くので3出複葉とは違います。(3出複葉は一つの柄に3枚の葉が付く)
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大きな大きなホオノキの葉も輪生です(厳密には少しずれている)それぞれの葉の柄を見ると特定の一カ所から出ているのが分かりますね。輪生の植物もまた数が多くない種類なので葉の付き方が分かると種類を特定できることが多いです。